SPARMAXさんより、FLYER-SR2に装着するスペーサーを希望者に無償配布しますという案内が出ました。
実はこのスペーサー、アネスト岩田さんのご厚意により私も先だって試用してました。
【FLYER-SR2をご愛用の皆様へお知らせ】
— SPARMAX JAPAN (スパーマックス・ジャパン) (@SparmaxJAPAN) August 2, 2024
この度、弊社商品「FLYER-SR2」につきまして、
「もう少し粘度の高い塗料を吹き付けたい」
「塗料の希釈率を下げたい」という
ユーザー様からのご要望にお応えしまして、
専用のスペーサーをご用意し、
今後販売するFLYER-SR2にスペーサーを… pic.twitter.com/ReWR9n0sZQ
Xのポストによると、
「もう少し粘度の高い塗料を吹き付けたい」
「塗料の希釈率を下げたい」
というユーザーの声を反映してアップデート的なパーツを用意した、ということのようです。
これはどういうことかというと、希釈が十分シャバシャバな時は何も問題なくフツーに使えるものの、希釈率を下げて少しドロっとした希釈で塗ろうとするとノズルから塗料が出てこないことがあったということのようです。
私はわりと希釈率高めで塗っているので、あまりそのような問題に遭遇することがなかったのですが、人によっては希釈率をあまり高くしないで塗りたいというケースもあったようです。
そもそものエアブラシの仕組みについて
希釈率が低いとなぜそのようなことが起こるかですが、要するにノズルから塗料を引っ張り出せないから、ということになります。
FLYER-SR2に限らず、エアブラシは全て、ノズルまわりにエアーの流れを作り、そのエアーの負の圧力でノズルから塗料を引っ張り出す仕組みになっています。
通常のハンドピースではエアー吐出口とノズルは同心円に配置されていて、いわばゼロ距離な状態なので、エアーの負の圧力を最大限利用する構造になっています。
しかしFLYER-SRの場合ノズルボトルを交換できるという構造上、同心円には配置できないので、タンデムに並べて配置するしかありません。その並べた時のお互いの距離をどこまで縮めるかでエアーの負の圧力を受ける大きさが変わります。といっても、工業製品はコンマ何ミリという世界で微妙に大きさにバラツキがあるので、むやみやたらにギチギチに詰める設計にはできません。なので必要以上に距離を詰めるわけにもいかないので必要十分程度の距離に定めることになると思います。
現状のFLYER-SR2のノズルとエア吐出口の距離は、おそらくそうとうなテストを重ねた上で導き出した距離だと思うのですが、どうやら想定よりも希釈率を低めで塗るユーザーがある程度いた、ということなのでしょう。
そういったニーズをカバーするためにアップデートパーツを開発してできあがったのが今回のパーツというわけです。
スペーサーの装着
パーツ自体はシンプルで、なんこれ?という形をしています。
このパーツを、FLYER-SR2本体のボトルを支える部分にハメます。
準備はそれだけ。
あとはフツーにノズルボトルを装着して塗装するだけです。
なるほど考えたなこれ、と思いました。
ノズルボトルを支えるところにスペーサーをはさむことでノズルボトル全体の取り付け角度がほんのわずかに急角度になるので、その結果ノズル先端がエア吐出口に近づくことになります。
これによってエアーの力をより受けるようになり、ノズルから塗料が引っ張り出されやすくなるので、多少塗料の粘度が高くても(=希釈率低め)塗料がでてくるようになるというわけです。
しばらく使ってみて
実のところ私は先にも書いたように希釈率高めで塗っているので、塗料が出なくて困っていたわけではないのですが、それでも使っていて変化は感じました。
一つには、レスポンスがよくなったという点です。塗料を引っ張り出す力が強くなったおかげか、トリガーのオンオフに対する反応が良くなった気がします。
ノーマルの状態だと、トリガーをオンにしてから塗料が出るまでにほんのわずかなラグがありましたが、それがだいぶダイレクトになったと感じます。
一方で、ノズルボトルをハメる時に力が要るようになりました。ノズルボトルの装着角度をスペーサーで変えているので、その分ノズルガイドに負担がかかってそうです。
なのでそれの耐久力的にはどうなんだろうと思わなくもないのですが、その辺はメーカーさんもわかってて今回のリリースになっていると思うので、大丈夫という判断なのでしょう。
どういう人が必要?
塗料が出てこない時、スペーサーがなくても希釈率を上げていけば出てくるようになりますが、あまり希釈をせずに濃い状態で塗りたいという場合はこのスペーサーがあったほうがいい、ということになります。
カーモデルのボディのような、スケール系でかつ広い面積を塗るという時は希釈率を高めにすることが多いと思うのでスペーサーが必要になることはあまりないと思います。
希釈率を低めにして濃いめで塗りたいのはどういう時かというと、主にガンプラ系だと思います。
ガンプラ系はパーツ数が多くて、そのひとつひとつの面積がそれほど大きいわけではないので、希釈率をあまり高くしてしまうと効率が悪くなります。一発で色が乗るようにするにはある程度濃いめにする必要があると思います。
希釈率を低くするとユズ肌になりやすいというデメリットがあるので、スケール系ではそういう意味でも希釈率を高くすることが多いですが、ことガンプラ系の場合だとあまり問題になることはないようです。というのも、やはり比較的面積が小さいことと、最後つや消しで仕上げることが多いのでユズ肌になっていても目立たないためです。
とはいえスケール系でも、カーモデルのシャシーの足回りや、エアモデルの脚まわりなど、細かいパーツを塗る時はシャバシャバでは塗りにくいので、濃いめにして塗りたい時はあります。そういう時はスペーサーがあったほうがいいかもしれません。
結局、今現状FLYER-SR2を使っていて、もう少し濃いめで塗りたいけどこれ以上濃いめにすると塗料の出が悪くなる、という方はスペーサーを使うべし、という感じです。
逆に言うと、現状問題なく塗装できている方は急いで必要になるというものでもないのかなという感じです。
今回は以上